物理的にも、精神的にも、少し一人になりたくて、年始の連休のほとんどをホテルで過ごした。特に決まった予定を入れずに、部屋でゆっくり映画を観たり、近くのケーキ屋さんに立ち寄ってみたり。大きな出来事はなかったけれど、ささやかな日常の中で、のびのびとした時間を過ごすことができた。
先月から心の浮き沈みが激しくて、うまく言い表せない停滞感を感じていた。映画を観終えてぼんやりしていると、日が暮れていくとともに、またあの重たい感情の波に飲まれそうになり、少し外の空気を吸いに散歩へ行くことにした。
イルミネーションの終わった後の定禅寺通りは閑散としていて、橙色の電灯が淡く道を照らしていた。夜ご飯を適当に買ってホテルの部屋で食べるつもりだったけれど、たまたま通りかかったファストフード店で食べていくことにした。
店内には外国人が一組と、一人で食事をしている男性がいるだけだった。席に食事が運ばれてきて食べ進めていると、スーツ姿の仕事帰りの男の人が向かいのテーブル席に着席した。
知らない人同士ではあるけれど、誰かがいるということに安心した。
店を出てホテルまでの帰りに街を歩いていると、そこには絶えることのない明かりと人の姿があった。私が田舎よりも都会の景色に惹かれるのは、そこに人がいるからなんだと思った。一人になりたいと思っていたはずなのに、心のどこかで人の温もりを求めていた。
誰も私のことは知らない、気にかけてもいない。私をそっとしておいてくれるこの街の空気と、他人との距離感が、その時の私にとってはとても優しい温もりに感じた。